雨のあとの空
梅昆布茶

この半島には古い鉄路が通じていて機関車がときどき通る

小さなまちの路地裏には野菜くずや魚の腐った臭いが充満して

それが僕をつくっているのかもしれない


答えのない恋人に愛を告げるように

哀しくせつなく世界はあるのだな


雨のあとの空のようにぬけるように広がり続けるのだね心って

僕のなかで眠っているものは何処への郷愁なのだろう


生き延びるだけの日々なら要らないさ僕は別もんだね


大きな鳥が爆弾をかかえて空をよこぎってゆく

僕は空き缶を蹴り飛ばし君の暖かさをなぞる


宇宙には君と僕しかいないはずなのにどうしてあえないの


オトシブミっていう昆虫がいるの

葉っぱを巻いて綺麗な円筒形の手紙をつくるんだってさ


僕の言葉はオトシブミ

都の大路に讒言を落としてゆく


そして雨の後の空に小さな虹をかけるんだろうな

君の溜息のようなね






自由詩 雨のあとの空 Copyright 梅昆布茶 2012-01-30 06:51:59
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