カンボジア旅行記1
チカモチ

13:55に日本を出発。大韓航空でソウル経由、トランジット時間は50分程度。シェムリアップに着いたのは21:30(日本時間で23:30)でした。

日本からソウルは案外近く、搭乗時間はおそらく1時間半くらいだったと思いますが、その間、隣の席にいたフィリピン人のパリスとずっとおしゃべりしていました。パリスは現在沖縄で政局関係の仕事をしているそうですが、年末年始の休暇ということでマニラへ帰り、家族に会いにいくそうです。大柄な体で陽気な彼は、アメリカのフロリダ州にも住んでいたことがある、アメリカは運転がものすごく荒くて時速140キロくらい平気で出しちゃうんだぜ等、思いつくままにニコニコしながら色々な話をしてくれました。

彼にどんな仕事をしているんだと尋ねられ、複合機のマニュアル制作をしていると答えると、パリスはどうしたことか目を輝かせながら「そりゃあ面白い!」と食いついてきました。「俺はマニュアル制作の仕事をしている人間なんてこれまでに出会ったことがない。というか、マニュアル制作という仕事があること自体、今初めて知った。俺が思うに、お前のような仕事に就いている人間は極めて珍しいよ! そんな人、この飛行機の中で多分お前だけだろう」
自分の職業にここまで興味を持ってもらえたのは初めての経験でしたが、悪くない気分でした。人間の価値観っていうのはこういう時に現れるものだなぁと思いつつ、「もし今度マニュアルを使う機会があったら私のことを思い出してね」と言っておきました。

また、私が一人でアンコールワットへ行くんだと言うと、彼はとても驚いた顔をしていました。「俺は旅行というと、誰かと一緒に行くか、誰かに会いに行くかのどちらかだ。終始一人で終わる旅行なんて考えもしなかった」と言い、少しの間何か考えていましたが、最終的にはYou are adventurous! と言ってニッコリ笑いました。

そんなこんなで喋っている間に飛行機はソウルに到着。トランジット時間が短かったのでパリスとはアドレスを交換して慌ただしくお別れしました。好奇心旺盛で懐の広い、素敵なおじさんでした。あ、カンボジアの写真を添付してメール送る約束したんだった。送ろう。

ソウルからシェムリアップまではたしか4時間くらいだったかと思います。隣に座っていたのは神経質そうな日本人で「地球の歩き方」と文庫本を交互に読み、重要な箇所には線をひいたりしていました。バッファロー吾郎の竹若さんに顔が似ていました。だいたい行動をみていたら予想がついたのですが、案の定機内食の片づけ方がものすごく整然としていました。ただ、コーヒーの飲み方がとても雑だったのでガッカリしました。

そんな具合にぼんやりと過ごしていたらシェムリアップに到着しました。現地はとてもむし暑く、虫もたくさんいました。あらかじめ宿泊ゲストハウスに空港までの送迎をお願いしていたので、自分の名前が書かれている紙を持った男の子を見つけ、そのままトゥクトゥクでゲストハウスへ。待ち受けていたのはうさんくさい日本語を話す男性スタッフ。神妙な顔で「まず、あなたにあやまらなければなりません」と切り出してきました。今日は事情があって宿泊客がいっぱいになってしまったので、今日だけ別のゲストハウスに泊ってほしい。もちろん宿泊代は僕がもつので、とのこと。一番最後の台詞にはカチンときましたが、まぁ外国人なので仕方ありますまい。快くOKし、別のゲストハウスまで送ってもらいました。

案内されたゲストハウスの部屋自体は悪くなかったのですが、シャワーのお湯が出ないのがショッキングでした。うーん、いくら暑いとはいえ、これが毎日続くとけっこう辛いかも…。明日以降泊まるゲストハウスにはお湯が出ることを祈りつつ、髪もまだ乾かぬうちに眠りにつきました。


散文(批評随筆小説等) カンボジア旅行記1 Copyright チカモチ 2012-01-28 12:56:13
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