96粒の涙
梅昆布茶

一つの魂には多過ぎる涙を君は溜めている

すべての宇宙の悲しみを君は泣く


まるで時間というダムが決壊したようにね

僕は呆れて見ている


愛が欲しいと君は泣く

小さな女の子のように肩震わせてね


やがてキラキラした水晶の海が出来てきみはその畔で佇んでいるし

僕は水源を求めてゆくリビングストン

失われたコードへの夢の門出に立っている


きっと僕たちの乾いた会話にはたくさんの涙が必要なのだね

無名戦士の墓を洗う雨のように

百万回生きた猫のように泣かずにはいられないのだよ


今朝ママが死んだ

君は空色のなみだをながしつづける

祈りを風のなかへ放ち続けるのさ

あふれる悲しみの

96粒の涙をね




自由詩 96粒の涙 Copyright 梅昆布茶 2012-01-23 01:28:44
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