視力が落ちてから
理来

視力が落ちてから
虫とほこりの区別をつけるのが難しくなった
そのように沈黙の内側から
何かしらの気配を感じ取るのが難しくなった
今、目の前に置かれたCPUのかたまりの中へ
こうやって次々寄せ集めのかけらを放り込んでいっても
以前ほどの望ましい形とはならないのです
わたしは昼には空想することを忘れ
夜には明日の準備をするため眠りにつかなければなりません
むかしとは違い、何かを揺り起こそうとするこうした大切な時間と
残された時間との間に天秤をかけるようになりました
残照を見続けている椅子と同じではないでしょうか
今日もまた声はどこかへ途切れていきます……


自由詩 視力が落ちてから Copyright 理来 2012-01-22 23:33:44
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