雨のゆりかご
理来







    水たまりにふれる金管のくちびる
    降りやまず続く日
    いちばん始めの地球に戻されたような
    ゆりかごの上をたどる
    ひらいた傘は鳴りきしみ
    むじゃきにふるまい、ときに気ままに
    遅れている足取りの後からついてくる




              道のべにあふれるシャウトですね
              こぼれてはかえす挨拶ですね




    今日は
    掌の小鳥はお休みだ
    と、水滴をうけとる大地は知らせる
    水滴をさずける空は黙したまま
    肩幅の近くを通りすぎる
    細胞深く立ち止まって、しばらくそれを見送る




              呼吸をとどめるシャウトですね
              こんなにも静かなシャウトですね




    たいそう機嫌がいいみたいだ
    うたごえはほほえみ結わえてる




              まだまだ終わりが見えませんね
              ゆっくり歩いていきましょうね




    降りやまず続く日
    いちばん始めの地球に戻されたような
    ゆりかごの上をたどる








自由詩 雨のゆりかご Copyright 理来 2012-01-21 20:09:19
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