煌徨
木立 悟






灰と水と 光と音が
道の行方を消してゆく
午後のむこうには何もない
午後のむこうには何もない


蜘蛛の巣をたばねた
冬の雨の日
むらさきと黒の目の
水たまりを見る


呪いを戴き
淵を囲む
霧とまばたき
朝に沈む朝


くりかえしと硝子
指先の粉
冬から冬の渦
道に降る音


貪欲はまぶしく
誰もいなくなり
遠まわりは縦横に
姿を持たない足跡に満ち


したたりをなぞり
空をあやつる
暗い陽が昇り
陰をまたたかす


川を踏む川
色を砕き
ところどころ眠りながら
夢も痛みもない道を曲がる


まばゆいさまよいが
壁や窓にはねかえる
聞こえぬもの 見えぬもの
めぐりはためくものに盲いて






























自由詩 煌徨 Copyright 木立 悟 2012-01-19 10:11:05
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