ネガティブ
……とある蛙

憂鬱な朝の第一声
曇天に向かって
呪詛する言葉を発する
自分は独りの老人だ

曇天の向こうには
雲から垂れ下がった
塔が地上に突き刺さる
恐ろしく繊細な根元が
地上に突き刺さる

巨大な実用性が
柔弱な地盤に突き刺さる
地上の住人の物珍しさが
巨大な塔が屹立しているという
錯覚の映像を網膜に反射する

自殺者増加 放射能汚染
人類滅亡 地球崩壊
日本沈没 出生率減少

出生者の数と自殺者の数が同数であれば
確実に人類は滅亡する。
すべての病気、老衰の克服は
もちろん未だなされていない。

それでも五月に大騒ぎ
天神様も押上も錦糸町楽天地も
いよいよ東京のシンボルのお膝元
港区にはなれないがさらなる儲け話という匂い

その塔にちなんで
借金をしようという思惑の鉄道会社

何をするのかおこぼれ利益
ついで柴又まで射程距離

老人は今来た道を振り返る
どこまで悪くならなければ成らないのか
いや
奈落に底は無い。



自由詩 ネガティブ Copyright ……とある蛙 2012-01-18 15:25:47
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