枕もとのアバンチュール
モリー

目をつむると火花が散る
切なさで肺がつぶれる
わたしは、ただの人間で
恋をするとレモンのような理想を夢見る

あの人の、浮遊感が堪らない
彼の影に針をさして標本にしたい
アコースティックギターになって
節ばった指にはじかれたい

まだ薄暗い部屋の中
頬の熱を冷やしながら思いは泳ぐ
サイレンが遠くで聞こえる

今度もし、彼が太宰を読んでいたら
告白してしまうかも
空色の表紙だったら
運命かも

世界が形を成さぬ間に
レモンのような気持ちをこっそり
枕の下に投じよう


自由詩 枕もとのアバンチュール Copyright モリー 2012-01-18 09:43:45
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