春と決別
まーつん

君は ポーズをとる
傷ついた純真
夢の紡ぎ手
女王クイーン
その他 もろもろ

その全てに 飽きたとき

君は 煙草をくわえる
春先のプラットホームで
紫煙の中に霞む 擦り切れた再出発
時計の針が カチコチと歩む 君の隣で 肩を並べて

一巡した季節サイクルの果てに また始まりの扉が 開かれる
冬の間 君は考えていた 今までの人生は なんだったのかと
今まで追いかけてきた 男達は 居場所は 宝石やバッグは 温もりは

なんだったのかと

目抜き通りの看板に 鮮やかな商品の形をした
幸せの約束が その 最新版が
これ見よがしに 宣伝されて

開け放たれた 空からは ポリエステルの天使たちが ばら撒く
幸せの バーゲンセールを謳った 白いチラシが
撃ち落された 無数のハトの 羽のように
ゆっくりと 舞い落ちてくる

地に触れると溶けてしまう その安上がりな祝福を
人々はみな 背を伸ばして 髪を乱して
空中で キャッチしている 

スローモーションの 光景

君は 右往左往する
群衆の中を まっすぐに
通り過ぎていく 喧騒に目もくれずに
イカサマに疲れた君は 期待することをやめた
運命のベルトコンベアから なにか光輝くものが 運ばれてくることなど ない と

荒野へと続く 擦り切れた 石畳に
君のハイヒールが 固い音を立てて
決別の詩を 刻んでいく

回り続ける 回転ドアのように 巡ってきた
今一つ 始まりの季節

吹き零れる 白い光
寂しくて 無垢で
風があり 遠い産声が 呼びかける

ここに 始まりがある
本当の 始まりがある

そう君に 呼びかけている


自由詩 春と決別 Copyright まーつん 2012-01-18 00:38:06
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