いまはもうない駅
Seia


プラットホームで
白い息が揺れて
空に昇って龍になる

それに見とれながら
新幹線を待っている

少し足元を見て顔を上げた頃
蒸気機関車が到着していた

戸惑いながら人いきれに押されて
いつの間にか
少し固い椅子に座っていた

ゴトンと揺られ
汽車は走る
田園の中
汽車は走る

ごった返した
車内が揺れて
日が昇ってもやがとける

朝に別れを告げて
終着駅を待っている

少し眠りかけてコクりとした頃
目の前に新幹線が到着していて




私の心を載せた汽車は
いまはもうない駅へ向かっていった


自由詩 いまはもうない駅 Copyright Seia 2012-01-16 17:28:24
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