春に恋う
石田とわ
春を恋うように
遠いあなたをおもうのです
眠れぬ夜の午前三時
あたたかな布団のなかで
そっと寝巻きをはだけます
肌を撫でるあなたの細い指先は
春のようにあたたかく
おもいだすだけで
泣きたくなるのです
抱きしめてもらえぬならば
この冷たき土を掘り返し
その白き姿を抱きしめたい
記憶たちがしだいに薄れゆくことが
かなしくて、くやしくて
移ろう季節がつらいのです
愚かな恋をしたわたしを
あなたは笑って許すでしょう
春の日の花影に
あなたの姿さがします
自由詩
春に恋う
Copyright
石田とわ
2012-01-16 05:44:17