誕生日の夜に
石田とわ
誕生日の夜、いなくなりたいと言った
それは嘘だと知っている
本当はケーキに蝋燭をたててもらい
此処にいていいのだと安堵したいのだ
生きていていいのだと
だれかに肩を叩いてほしいのだ
ならば言おう
きみがいないと困るのだ
生きていけぬほどに困るのだ
きみが生まれたこの日が
365日の中で一番好きだと
それが嘘いつわりのない事実だと
知っているだろうか
いなくなりたいと
死んでしまいたいなどと
どうか言わないでくれ
此処には何もないけれど
心からの祝福をきみに贈ろう
誕生日おめでとう