海まで
吉岡ペペロ
海まで自転車を傾けながら走る
耳のわるいおじいちゃんが耕している田んぼを通る
民家の建ち並ぶ屋根のうえには雲が光と競争している
太陽がぎらぎらと当たって汚い川が美しく見える
静かで荘厳な寺院のようなこの川が海まで続いている
車道にはガードレール
目を上げれば電線がここではない何処かに伸びている
理科の時間校庭を侵略するように向かって来る雲の群れ
さびしいひとに年表を書き送ると雲の群れはさらに近づいていた
波止場のコンクリートに自転車を停めると空や海の青
脱獄を祝う青を傾きながら揺れながら写真におさめる