海まで
吉岡ペペロ

海まで自転車を傾けながら走る

耳のわるいおじいちゃんが耕している田んぼを通る

民家の建ち並ぶ屋根のうえには雲が光と競争している

太陽がぎらぎらと当たって汚い川が美しく見える

静かで荘厳な寺院のようなこの川が海まで続いている

車道にはガードレール

目を上げれば電線がここではない何処かに伸びている

理科の時間校庭を侵略するように向かって来る雲の群れ

さびしいひとに年表を書き送ると雲の群れはさらに近づいていた

波止場のコンクリートに自転車を停めると空や海の青

脱獄を祝う青を傾きながら揺れながら写真におさめる






自由詩 海まで Copyright 吉岡ペペロ 2012-01-15 17:23:19
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