おはなし、森の
石瀬琳々

たぶん、枯葉を踏んで
(小気味良いステップで)
たぶん、あなたの森を歩く


あなたの匂いがする森は
いつかどこかで歩いた道
頬を寄せると風が囁く


おはなしをしよう
ブランケットにくるまって
あるいは樹木の梢を透かし
仰ぎ見る青い空


おはなしをしよう
わたしだけが知っている花
あなたがいつか差し出した花を
こうして髪に飾って胸に抱いて


 雪が降る 瞳に雪が降る
 瞳のおくの隠された湖面に触れて
 アイシテル アイシテル
 つぶやいては溶ける真冬の花の


笑っているような
(泣いているような)
そして陽射しがこぼれて明るい


あなたのいとしい森を歩く、歩く
たぶん、わたしを待っている
いつかどこかに続いている道




自由詩 おはなし、森の Copyright 石瀬琳々 2012-01-12 14:01:38
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