レモン畑
灰泥軽茶

無農薬だからと皮まで食べれるよと

レモンをひと齧り

皮は甘く果肉は突き抜けるような酸っぱさだ

こめかみの奥に木漏れ日がちらつく

でもやめられず懲りずに齧り続けていくと

急に顎がはずれて鍾乳洞

太古の滴が額を一滴ずつ一滴ずつ垂らして

脳の奥の空洞にこだましていく

ふと我にかえりあたりを見回し

手探りで歩いていると

ぼんやり先に見えてくる光

少し早足でそちらに向かっていくと

つるつるの床に足をとられてすってんしゃん

顎ががっくんと打ち鳴らせば

ここはどこだか太陽の光

こんなにも眩しい原色風景は

遠い国の匂いがするレモン畑だ



自由詩 レモン畑 Copyright 灰泥軽茶 2012-01-12 02:05:06
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