散弾的退廃思考
faik

宇宙に音は無いという
完全な円は無いという
止まない雨は無いという
晴れない闇は無いという

今まで聞いてきた薀蓄や格言を
暇に任せて思い返していたら
不意に、頭が緑の劇物になり
猛烈にカステラが食べたくなりました

我が家にカステラはありません
御年賀の熨斗に封印された
大層ご立派などら焼きと
ひよこという名はついてるものの
てんでひよこ要素が見当たらない
ちよこれーとしかありません

まあ、似たようなもんか
餡があるかないかだろう
この際、口に入ってきた時に
それとなくふわっとしてくれればいい

いっそチョコだって構わないさ
ひよこって名を名乗るからには
見た目と違って
存外にふわっとしてるんだろう
名は体を現すっていうし
一応は銘菓だし
自分を上手く丸め込めさえすれば
気休めくらいにはなるはずだ

あとはコーヒーで流し込め
何かのせいにして飲み下せ
いつもみたいに宙を眺め
腕を散弾銃に見立て
見えない敵を撃ち続けろ
在りもしない敵を撃ち続けろ

嗚呼、誰か私を
私の頭を
私のくだらんこの劇物を
蜂の巣にしてくれ
ミンチにしてくれ

カステラの底に敷き詰められた
ザラメか何かに変えてくれ


自由詩 散弾的退廃思考 Copyright faik 2012-01-11 21:11:24
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