放課後
たにい

ぼくたちが小学生のころ冬はもっと寒かった

日曜日の朝 二段ベッドの下で寝ている幼い弟の布団に潜り込んで
二人で熊さんごっこをしてしばらく遊ぶ
やがて退屈したぼくは弟を誘って部屋の仕切りに使っている箪笥の上から
両親のダブルベッドにジャンプ!
新聞を取ってくるのはぼくの役目
ベッドの中で家族に新聞を読んで聞かせるのが父の趣味だった

月曜日の朝 白い息を吐きながらぼくたちは登校する
おはよう おはよう 子供たちが少しづつ集まってくると
すぐに押し合いへしあいして団子になる
団子のなかにいると暖かかった

放課後 友達のいないぼくは学校の裏山の草叢に寝転んで空を見ている
冬の日差しがなんとも暖かくて気持ちいい
眺めているうちに空の色がブルーから群青色に澄んできた
ぼくはさびしくなって空の裳裾に目を翻した
町のすぐ上を覆う空は優しい水色でぼくを安心させる

冬の日は暮れるのが早い ぽつりぽつり町にオレンジ色の灯が点りはじめる
体も冷えてきたし家に帰ろう
夕御飯は何だろう
温かいシチューだったら嬉しいな


自由詩 放課後 Copyright たにい 2012-01-11 11:14:13
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