君に一等賞を上げよう事件 / 冬もやっぱり不思議話
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君に一等賞をあげよう!

神さまが居たんだ
表参道の交差点から明治通りを渋谷方面へ歩いていたら
通りすがりの神さまが振り向き様に僕の肩を叩いて言うんだ

本当に頑張ったね
頑張ってる君に一等賞をあげよう!

信じられる?
できないよね
でも本当なんだよ
周りの人はあっけにとられたよ
だって神さまだもの
浮浪者じゃないよ

図書館の閲覧室に駆け込んできた君は
本を振り回しながら僕に言う

折り紙でできたような勲章を僕に渡して言うんだもの
君に一等賞をあげよー! って
その後で僕の回りの人にも声をかけ始めたんだ
君にも一等賞をあげましょう
だからあなたにも一等賞を上げましょう
おっとそこの君にも一等賞をあげますよ

ふざけているのか君も同じように回りに声をかけ始めた
図書館は不思議な気持ちの人でいっぱいになった

ぽかんとする人
取りあえず笑う人
なに、なに?
隣の人に聞き返す人

ホコリっぽい空気の中で斜めから日が射して来て
キラキラ光の筋が伸びて来る
白い光が満ちて来てぼくは不思議な気持ちでいっぱいになった

肩の力を抜いて座るんだよ
隣合わせに見交わして言う
頑張ったね
よくやったね

ちょっと休憩しよう
もう肩の力を抜いて
油断しても大丈夫!?

君はずいぶん頑張った
頑張った君に一等賞をあげよう!
って

はい、だからみんな大きな声で一緒に言ってね!?

《 きみに一等賞をあげよう! 》

どう?
幸せな気持ちになった?
やっぱり神さまは
いるんだよ!?

君は笑って肩で僕を押した


 


自由詩 君に一等賞を上げよう事件 / 冬もやっぱり不思議話 Copyright beebee 2012-01-09 02:16:33
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