『幻』
あおい満月
深い胸の奥
求めるものは何だろう
ありきたりなことばだけの感情ではなく
細やかだけれど
静かに燃えている
わたしのなかの
赤い熱
わたしから
眠りも咀嚼も
飲み込むことも奪って
支配する
もう一人の
少女のわたし
その声を想う度に
目を閉じたはずの傷口が痛む
寄り添うことが
叶わないから
あなたはこの世界にはいない
遠く深い
空の彼方に
去っていってしまう
願い事を
願っていた事を
ひとつこの手のひらに置いて
空を見上げる
声にならないことばが
また風と交ざり合い
消えていく
二〇一二年一月五日(木)