年末ドライブ
生田 稔
年末ドライブ
濡れし街ひとまわり
雨上がりに陽の照る
運命の曲は流れて
雲の湖岸を左手にて
いまだ燃えなき
心を持ちて
今日の旅
酒を慎もう
近江富士
たたずむ向こう
雲片々
淡々し思いに
沈む、今朝の
ムード
トンネルを抜け
山は広がる
家屋点在
寒い寒い
師走、大晦日
しじみ汁啜る
美しいとのみ
景色がありて
男に生まれし幸
ドライブは
知り人任せ
詩を作ろう
畠畠畠
雲出川を過ぎゆく
野菜畑が青々し
今日の食欲
三人でおにぎりを
夕食は伊勢うどんを
低き山々
彼方に連なり
松阪を過ぎゆく
体がむずがゆい
妻はしゃべる
女の妻の友の運転
僕は何にも知らない
生まれてここまで
抗うごとく生きた
冬も緑の
山の木々
心にときめく「威風堂々」
車に乗っていると
命のいくばく
儚さを知る
友のしゃべる
妻は聞く
二人は今日は幸福
聖書の神と
関わりありという
伊勢神宮
神々支配す
伊勢の宮
合掌造りの宮を出ず
柿の木々
実と葉は落ちて
冬枯れの
今日の一日
友と妻と吾
仲良く過ごし
妻と友
笑い声立て
よろよろこばし
小高き山
志高く生きたしと
心に祈るもしばし
陽は高く
昼下がり時の
南伊勢
不満な人
どうか人としてのおきてをば
守りたまえ神の為
池ありて
鴨泳ぐ水面に
風さわぐ
いつしかも
雲払われて
青空に風もなし
山の端までうちつづく
畠そして畠
伊勢の旅よ
さっきから
空はうす紅に
吾らの未来を告ぐるごと
夕ぐれて
コンビニの
生ビール、体ポカポカ
終わりました。