石炭
草野春心



  君は唇を震わせる
  火を点けたばかりの
  赤い輪郭をした石炭を
  心の何処かに抱えるように



  愛することは愛を傷つけ
  悲しむと悲しみは消えてしまう



  煙突のないこの部屋で
  積みあげた言葉が灰になっても



  君は新しい石炭を
  虚ろな瞳にくべるだろう
  曇天のようなアイ・シャドウを
  夕闇の色に染め上げて





自由詩 石炭 Copyright 草野春心 2012-01-02 10:06:15
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