スパティフィラム
まーつん

窓硝子から流れ込む 午後の陽光に
植木鉢の スパティフィラムが
静かに 溺れていく

凍えた足首を燃やす 電気ストーブ
郵便ポストに忘れられた 年賀状
西向きの食器棚から 背伸びして外を見回す
カットグラス 陶器の平皿 楊枝立て 急須

なだらかな長音階を
ゆったりと降りていく
ピアノの音色 その足取り

時の降り積もる 松張りの床から
去年の記憶の群れが 白い羽を閃かせて
次々に 飛び立っていく 光の海に 溶けていく 


自由詩 スパティフィラム Copyright まーつん 2012-01-01 14:55:26
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