僕の物語
藪木二郎
ごめん
ひどいことばっか
書いちゃいそうなんだ
いやほんと
最近は
もちょっと前向き
なんだけどね
けど俺
レイプのこととかばっか
書いてたから
合意のエロなんか
SMとか多少あっても
ちょっと下品な
恋愛小説に過ぎないじゃん
なんてさ
ファンタジーとかでもさ
女戦士
女賢者
女性キャラ皆
グールの餌食さ
これは俺の
ヘテロ変態スプラッター嗜好と
それと多分
童貞ルサンチマンのせいなんだけどさ
これがもしリプレイ小説だったら
ほんとあり得ないような
女性キャラ死亡率さ
読者サーヴィス
なんて言ってたけどさ
作者サーヴィス
だったってわけさ
角川スニーカー大賞がさ
マイ・フェイヴァリット投稿大賞
だったんだけどさ
そこへの投稿小説ん中で
ある年俺
女戦士の姿焼き
作っちゃってさ
勇者のパーティがさ
オーガの一団と
エンカウンターしちゃうんだけど
仲間数名
野郎の見習い騎士だとかも
さらわれちゃってさ
足跡辿って
オーガ達のねぐらの洞窟前
反対側の岩場の陰から
窺う勇者達
さらわれた仲間達は
もうとっくに首落とされちゃってて
ワタヌキなんかもされちゃってて
手足一纏めで横棒に吊るされ
焚き火で
背骨のほうからジュージュージュージュー
もうこんがり
けどそん中に
どことなく丸っこいフォルムの
丸焼きがあってさ
チッキショウッ
あれはギルダだっ
オーガ共めっ
なっ
なんてことをっ
赦さんっ
絶対赦さんぞおおおおおおおっ
って
勇者達の科白
入力しながら俺
なんかちょっと
妙な気分だったな
その手の小説って
大抵さ
プリンセスの救出イヴェント
あんよね
さあそっからさ
俺のペンが走り出すのは
いや
ワープロぱちぱち
勇者の親友だけど
陰気な魔道士
プリンセスが囚われてる牢
最初に開くのは
彼
魔法による封印も
掛けられてたしね
けど
プリンセス救出の栄冠は
親友の勇者に譲る
だってさ
そのプリンセスは眠ってはいなかったけど
けどそれなりの口づけだとか
その後二人は結ばれて幸せに
だとか
陰気な魔道士の柄じゃないんだ
けど
勇者としては
後ろめたい
プリンセスにしたって
決して彼に気があるわけじゃないけど
なんだか袖にされたような気がして
高貴な血の
誇りが許さない
魔道士も領地賜ったけど
その領地に
叛乱の気配
なんて噂
裏切られ
希望なき抵抗を続けながらも
やはり彼は
プリンセスを
救出の一瞬
パッと輝いた高貴な微笑を
最後彼は
背中刺され
死ぬ
女に刺され
死ぬ
したがって
勇者との最終対決なし
女は彼の
そして勇者の
かつての旅の仲間
だった
とか
ここで彼に
ちょっと花を持たせてやろっか
実はこの女
ずっと彼を見守り続けてくれてた
とか
なのに彼は
プリンセスへの愛憎ばっかで
とか
俺も女に
背中グサッと刺されて死にたい