ホイッスル
umineko

たとえば
主審の吹くホイッスル
スタジアムは
興奮のるつぼ

たとえば
ラジオの玉音放送は
長い長い
嘘の終わりだ

春が来て
木々の小枝に

新たな希望の灯る時

神様
あなたの吹いたホイッスル
海が途絶え
街が消える

ただひとつ
わかったことは

春が来て
夏が来ても

私たちは生きていく

ホイッスル
ゲームセットで
何度でも
ゼロになって

勝者のいない
暗い夜道を
ひとり
歩いてゆくとしたなら

絶望に
灯をともし
明日の
見えない砂利道を

神様
あなたが気まぐれに
幾たび笛を吹いたとしても


私たちは生きていく
 
 
 
 


自由詩 ホイッスル Copyright umineko 2011-12-29 17:50:30
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