きずな
nonya
熟成した
ありがとうの肩越しに
平坦な
おはようとおやすみの隙間から
垣間見える結び目
熟練した
ごめんなさいの背中に
平熱の
いってきますとただいまの文字間から
透けて見える結び目
見過ごしたふりをしながら
ひっそりと暮らしを紡ぐ
遠火の安堵をまとったまま
こっそりと歳を重ねる
プレゼントを飾る
蝶々結びではないけれど
人を小躍りさせる
流行り物ではないけれど
執拗な風雨に耐え
決して解けることがない結び目
少しだけ照れながら
やわらかく繋がって
またひとつ川を渡る
少しだけ口ごもりながら
ぬくもりを巡らせて
新たな岸辺に這い上がる