蛇の章
梅昆布茶
蛇は己の脆弱さ故に猛毒をもって巨大な敵を倒す
しかし時にみずからの毒で死する
過剰な防御は精神を蝕みこころを荒らす
無防備こそ最大の防御でもあるのです
生きることはそのばしのぎの意味しかないことを
理解すべきなのかもしれませんね
そのうちに人生のゲームオーバーがきてしまうのですが
人生は脱皮した蛇の殻のようにがらんどうなのです
だから性急に意味を求めないでください
空っぽなものに何を要求するのですか
現代思想ではnominalとessentialに概念を分けます
内容のある概念はessential
内容のないただの概念はnominalだというのです
生きていく上で概念は必要ですが
じつようてきであるだけなのでんnominalです
しかし概念はひとり歩きし
原子爆弾のつくりかたや大量破壊兵器のつくりかたや
たくさんの財産をどのようにすれば独占できるかかんがえるのです
かんがえることの問題は
現実がみえなくなる
思考に入り込んだらとまらなくなる
そして何一つ問題に解決をみいだせず
どうしようともうそうするだけで
それを事実だと思ってしがみつく
いつまでも邪見のあしかせにつながれたままです
行き過ぎることもなく後退することもなく
現象の世界をすべてのりこえてゆくものは
蛇が脱皮するように
この世とかの世をともにすてさる
知識がもたらす優柔不断という苦難を乗り越える
その能力はまったくちしきではありません
真偽を善悪を明確に確実に疑いのよちなくしっている
智慧なのですね