愛について
たにい

午後 太陽は大きく西に傾いている
もう暫くすれば 彼は美しい茜色の雲に纏われて地平線の下に沈んで行くだろう
でも今綺麗なのは 彼に照らされている東の澄んだ青空と白い雲 陽を暖かげに照り返しているビルの外壁だ

最盛期の彼は よく働いた
彼の愛は地球のすべての生き物を支えてくれた しかし溢れんばかりの自己愛は人の目を背けさせる

家族への愛のために額に汗して働く男の営為は尊い
しかし疲れ果てた彼を寝かしつけ その寝顔をじっと見守る妻の横顔の方がはるかに美しかったりする


自由詩 愛について Copyright たにい 2011-12-24 07:28:29
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