再会
たにい

宝石箱の蓋を開けると白いブラウスの少女が踊っていた
チャイコフスキーの弦楽セレナーデの調べに乗って
白皙の額がダイヤモンドの光に照らされ 華奢な手首が瑠璃玉の色に染まっている

近くの団地に住んでいる娘だろう
制服のブラウスをよく見ると 同じ中学の下級生らしい
僕は君に話しかけたかった
でも どうやって声をかけたらいいのかわからない
変に思われるのは絶対嫌だ

意を決して 僕は舞台の彼女の名を呼んだ 
クララ!
しかし東京オペラシティの4階席からでは声は届かなかった


自由詩 再会 Copyright たにい 2011-12-23 23:45:26
notebook Home 戻る