蒼と冠
木立 悟





光の獣に
つまずき転ぶ
今日は左目の翳りの日


遠のく灰を
見つめていた
舌に降る雪の
水紋を聴いた


呼ぶ声はひとつ
呼ぶ声は六つ
冬かこむ冬
崩れかけた曲がり角を照らす


光はうつろへ
うつろへと吹く
水のなかを
振り返りながら
獣は進む


冬の星の群体が
ひとつの瞳にまばたいて
むらさきの下
身を寄せる森


光の射す方へ
指す方へ
わずかな道はのびてゆく
打ち消しあいながら
響きあいながら


遠まわりの軌跡は重なり
光も獣も追いぬいてゆく
蒼い氷の文字の冠
夜より高く左目にかかげて



















自由詩 蒼と冠 Copyright 木立 悟 2011-12-23 20:58:33
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