No. No.
フクロネヅミ

順序良く 手際よく 例えば 死んでいても構わなかったり 例えば死ぬ直前が一番良かったり どうもこうも なんでこうなったか 自分でも理解できないのだけれども これが自分なわけだから 仕方ないんだと思う 警戒した空気を放つ横顔 疲弊していく日常の様子 カーテンを開けずに施錠の確認をしていたり そうしてちょっと一人になると 小走りだったり 足早だったり 一歩も外へ出なかったり それが楽しくて仕方ない 声をかけたくて仕方ない また電話してるのかい 前から行こうか 後ろから行こうか 服の色や どんな荷物を持っていこうか そんなことだったり 見せたいものを探しながら うろつく部屋に つるした家具が 力なく重量感を見せつけてくれる それが好きで も一つ増やそうか どうか 自慢や自惚れはいけないな 手芸や日曜大工や 綺麗にする時間や 食事の時間や そこに君を持ってくるのだから その日は二人きりで誰にも会わずにお茶をしてみたい 特に用意していない話題を無理に出して 取り繕う時間と 席を立ちたい君を何度も引き留めて じれったく 君の焦りと自分の好奇とを ねっとりさせて 触って 触って 触って ここで このなかで 素手で 視覚で 時間をかけて 体を拭いて 背骨をなぞって もうそろそろ 君が君じゃなくなる


自由詩 No. No. Copyright フクロネヅミ 2011-12-22 02:53:16
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