柴犬のいた日々より
梅昆布茶
僕が資材調達課で関根さんが天体望遠鏡を組み立ていた頃総務の峯岸さんが3びきの柴の仔犬をもらってきた
工場の片隅食堂の裏の朽ちかけた木造の社員寮のあたりでわんこは皆に可愛がられながらコロコロと遊んでいた
近くには卓球台もありあきこ嬢やみねさんや僕や出口さんなどが昼休みわんこをかまいながらたまをうちあっていたっけ
あきこ嬢はのちの僕の嫁さんだが
大の犬好きで我が家でもシェルティやら雑種やら飼っていた
18年一緒に暮らしたあきこ嬢は信仰あつき人で僕の不信心が最後まで気に入らなかったようだ
とてもいい娘だったけどね
仕事をうしない吉見の家を手放してきみも僕から離れた3人の子供たちと
僕はほんとうは何に祈れば良かったのかなあ
どうもご本尊とかいうものではないような気がするのだが
ライブハウスに出入りして髭をのばして朝からピンクフロイドを聴いている
そんな生活が誰にじゆうをもたらすのだろうか
子供たちは幸せに生きて行けるのだろうか
まあそれはそれでしょうがないとして
僕は次の選択をしなければならないのだが
いずれにしてもまた家庭を持とうと思う
だらしなく散らかったベッドまわりを整理しなければならない
彼女は素足がすきだった
だから年中掃除機をかけていたし
汚物みたいな僕がそうとう気に入らなっかった筈だ
汚物なりにその時々のけつだんは必要で
そうやって日々はめぐる
すべての素敵なじかんをガラス玉にして空色のビンに詰めても僕のばあいちっとも一杯にならないのだな
それでもしあわせのはしっこをつかめるかもしれないね