おもちゃのゴルフボール
灰泥軽茶

いい天気でのどかだなぁと
公園で甘じょっぱい惣菜パンを食べていると

いたずらな風が吹いてどこからか
おもちゃのゴルフボールが
抜け殻の魂のように
放っておいてもそのうち消えてしまいそうな
白い無情の塊として
風に危うげに揺られてやってきた

私はおもちゃのゴルフボールに見惚れ
ぼうっとしていると
突然おもちゃのくるまに乗った小さな女の子が
猛然と両足で地面を蹴りやってきた

その女の子はおもちゃのゴルフボールに辿り着くと
小さな手で鷲掴みにし
そのまま私のところにやってきて
何も言わずに純真無垢の顔で手渡した

「〜ちゃぁ〜ん〜。」

砂場や遊具のある少し離れた場所から
おかあさんらしき女性に大きな声で呼ばれ
その女の子はまた
猛然と両足で地面を蹴り帰って行った

風に葉が揺れ木漏れ日が気持ちいいなぁ

私はその軽くて軽い
白いプラスチックの塊をポケットに入れ
残りのお茶を飲み干して

「ありがとう。」

と言い公園を後にした




自由詩 おもちゃのゴルフボール Copyright 灰泥軽茶 2011-12-16 02:23:52
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