おもちゃのゴルフボール
灰泥軽茶
いい天気でのどかだなぁと
公園で甘じょっぱい惣菜パンを食べていると
いたずらな風が吹いてどこからか
おもちゃのゴルフボールが
抜け殻の魂のように
放っておいてもそのうち消えてしまいそうな
白い無情の塊として
風に危うげに揺られてやってきた
私はおもちゃのゴルフボールに見惚れ
ぼうっとしていると
突然おもちゃのくるまに乗った小さな女の子が
猛然と両足で地面を蹴りやってきた
その女の子はおもちゃのゴルフボールに辿り着くと
小さな手で鷲掴みにし
そのまま私のところにやってきて
何も言わずに純真無垢の顔で手渡した
「〜ちゃぁ〜ん〜。」
砂場や遊具のある少し離れた場所から
おかあさんらしき女性に大きな声で呼ばれ
その女の子はまた
猛然と両足で地面を蹴り帰って行った
風に葉が揺れ木漏れ日が気持ちいいなぁ
私はその軽くて軽い
白いプラスチックの塊をポケットに入れ
残りのお茶を飲み干して
「ありがとう。」
と言い公園を後にした