フクロウ
まーつん
悲しくない
誰かの子供が死んでも
無垢な命が 奪われても
悲しくない
正義がなくても
押しつけがましい 物差しがなくても
悲しくない
君が泣いても
乾いた泥にまみれた頬を しょっぱい滴が流れ落ちても
俺は無情
嘘の涙で取り繕うのは
その方が優しく見えるから
ほんとは 何も感じてないんだ
空恐ろしくなるほど 君の痛みに何の関心もない
だからなんで 目の奥が 熱くなるのか わからない
まるで 何かを孕んだ眼球が 陣痛の疼きを 感じているかのように
俺は無情
悲劇の現場を前にして
足早に通り過ぎる傍観者
何の使い道も見いだせない両手を
むなしくジーパンのポケットに突っ込み
前かがみに夜をかき分けて 自販機のコーヒーを目指す
知った風な口をきいたところで
俺は 賢者にはなれない
人の痛みを 知らないから
それは 最後に残された宿題
この世から おさらばする前に
俺が 触れなければならない 真実への扉