火よ、きみは花を燃やしている
かぐら

少しずつ
季節が忘れてゆく花の
わたしを知って欲しかったんだ


きみの手を
ひいて歩いた十二月
他人同士であって それでも


雨の日に笑っていても
晴れの日に眠っていても
空っぽのひと


きみの詩は
盛り上がらずに終るから
まるで週末みたいで良いね


こうこうと
セブンスターが燃えていた
さっきまで詩が在ったところで


わたしから
あなたへ架かるこの橋を
渡った後で、燃やして、落とす


神さまの
いない背中をきつく抱く
命の弱さを確認しあう


血流の中へと
雪を降らせつつ
きみの不安を消すハルシオン


この雨が
クリスマスまで降りつづく
夢からさめて、おやすみなさい


明日から
二日とおくへゆく仕事
きみの背中を覚えて眠る


オレンジの光の差した深夜バス
あなたの街に
わたしはいない


「おやすみ」と近く
あなたはいなくとも
欠かすことなく告げている夜


電話だと
きみが裸で 花畑
震えていると分からなかった


たくさんの眩暈を
わたしにありがとう
きみを欠いたら大人しい日々


「おやすみ」と
猫に告げつつ天井を
ながめて猫を撫でる手止めず



短歌 火よ、きみは花を燃やしている Copyright かぐら 2011-12-15 01:12:38
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