こしらえる花
千波 一也



あながち
間違いでもなさそうな
傾斜みち

おおきく
眼を閉じたまま
ひとつ、ひとつ、を
よく噛み砕いたら

背中に負うのは
真っ赤な約束
瓜二つ、
みたい


かつての路地は
いまでも路地で
見かける顔が
違うだけ

かつての迷子は
いまでも迷子で
怯える理由が
違うだけ


咲かない春の
まんなかで
魚は巡る

綺麗になりたい
言葉の祭りの
うら・おもて


一輪だけが
こしらえる、のは
交互にかなしい
群れの花

だれの指にも帰らずに
だれの指をも香らせる
まばゆい影の
一輪の








自由詩 こしらえる花 Copyright 千波 一也 2011-12-14 22:23:48
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