二十四時を撃て
非在の虹

24時を撃て!
5分前ではいけない
5分過ぎてはいけない

ピアノソロが始まって
その時刻
最高に高まるはずが
いつも不満だ
音に文句は言いたかないが
24時の音は何とかしてくれ

そのとき俺は裏切ったか?
そのとき俺は眠っていたか?
コーヒーの飲みすぎか?
ウイスキーのやりすぎか?
それとも女を抱いていたとでも言うのか?
いいや、何もなかったのさ

23時55分いつものイントロは始まる
俺は
また不満だ

あのリズムが、あのリズムが取り戻せない

大した事じゃない つまらないリズムさ
何のことはない
隣の部屋から聞こえていた
あの足を揺するリズム

あれは親父の鼓動だったんだ
あれは親父がこの土地に来る前の鼓動だった
親父の足が動き出すと
地球が鼓動しているのが
よくわかったものだ

それが今では聞こえない
それが今ではわからない
裏切りも、飲みすぎも、女たちもいないというのに
大地も空気も光も闇も
感じないと言え!そして怒れ!

俺もピアノを前にして
思い出そうとしているんだあの鼓動を
この土地に来る前の鼓動を そうすれば

俺は音がわかるはずだ
24時の音が生きて
ピアノの鍵盤が踊り
地球の音で回るだろう
俺は始めて生きるだろう


自由詩 二十四時を撃て Copyright 非在の虹 2011-12-14 17:22:32
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