ピノキオたちの夏
吉岡ペペロ

ピノキオは人間で出来た木だったんだ

一見ばかなことでも視点を変えれば正しいことだと分かるとピノキオは言ったんだ


サンテンイチイチの予兆などまるで感じない八月の伝説の一週間

夜なのにとても暑くて街路樹の葉は枯れ下生えの植物たちは焦げてぐったりとしていた

満月の横には明るい星が寄り添っていて市ヶ谷から四谷までをスーパーで涼んだりしながら歩いた

公園には象の足のような太くて古い木があって二人掛けのベンチでは蚊にたくさん刺された

煙草を分け合いキスをしてとにかく早く二人だけになりたくてなりたくてたまらなかった


ピノキオは人間で出来た木だったんだ

一見ばかなことでも視点を変えれば正しいことだと分かるとピノキオは言ったんだ






自由詩 ピノキオたちの夏 Copyright 吉岡ペペロ 2011-12-13 00:42:55
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