気付かされたひと
恋月 ぴの

わたしだって一生懸命走っているのに
なんか自分だけ後ろへひっぱられてる感覚に囚われてしまって

一緒に走ろうねって誓った友達の背中が
だんだんと小さく小さくなってゆく




はじめはダイエット目的だった

いつまで続くかなと思いつつも買い揃えたランニングシューズ
あえてピンク色にしたのは初心者のつつましさ

近所の公園とかで走るまねしてると
けっこう様になってる気がした

会社の友達に誘われたランニングのイベントで
イケメンすぎるコーチに筋が良いなんて褒められたりすれば

まさに豚もおだてりゃ木に登るなんて
絵に描いたようなお気楽さは

色違いのランスカとか
お給料の半分近くも買いまくってた




夢であって欲しいけど
これが現実ってことなんだよね

ガンバ!

振り向けばコーチが笑顔で励ましてくれたけど
作り笑顔を返すのが精一杯の体たらく

心拍数どのくらいなんだろう
ふだんなら見もしない心拍計をみやれば信じられない数値だったりして

あがらなくなった腿は痛くなるし
まっすぐ走るのさえ苦痛になってきたよ

走るのやめちゃおうかな

でもなんか、ここで止めるのはもったいない気もするけど

あと少し!
ってどのくらいなの?
自分で自分に問いかけてみたりしてると

あれれ、もう少し走れそうな

弱音吐く気持ちを励ましてくれるかのように
疲れきってた手足が勝手に動き出す












自由詩 気付かされたひと Copyright 恋月 ぴの 2011-12-12 16:55:57縦
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