網タイツの雪おんな
ただのみきや

やっとのことで仕事を終えて
疲れをしょってバスから降りて

暗い夜道
  白い吐息
    せかせかと

すると小学校横の歩道を
女が一人こちらへ歩いてくる

 ――この寒空に網タイツ!

疲れた男が見境なく凝視してしまう
そんな装いの女だった

歩道橋横 ひと気のないあたり
通り過ぎ様に電話の声が


 「あんなヤツ 死んだって一銭にもならねェんだよっ! 」


  一陣の風 粉雪が渦を巻く


暗い夜道
  白い吐息
    せかせかと だが

   たましいは凍りついたまま






自由詩 網タイツの雪おんな Copyright ただのみきや 2011-12-12 01:44:58
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