[君は幸せ]
東雲 李葉
君はいつも洗い立てのシャツを着て清潔で柔らかな香りを漂わせて。
君のお家が温かく幸せなことを振り撒いている。
君が僕の家に来ると僕らそれしかないから硬いベッドに眠るばかりで。
何にもない何にもない。ぽつりぽつりと同じような話を繰り返すだけ。
それでも僕は幸福さ。君の匂いをいつまでも嗅いでいたいと思うんだ。
君は今きっと幸せだろう。君が思っていなくたってそうなんだ。
その事実が独りの影を置いてきぼりにするんだけど。
だけど少しくらいなら僕だって喜んであげられるよ。
お昼は一緒にカレーを食べた。君の家の夕飯は何になるんだろう。
僕はもう何か食べたい気分じゃないから残り香をお腹いっぱい吸い込むよ。
洗い立てのシャツ。どんな洗剤を使っているかも知らない君。
君は幸せだよ。最近、香水をつけることを覚えた僕が保証する。
君の家は幸せだよ。
僕だって独りきりでも幸福だよ。