ガラス玉掬い
灰泥軽茶

水の底で暮らすガラス吹き職人は
毎朝一番はじめに真っ赤に燃える
とろけた溶岩を試し吹きをして
水の中に薄くて綺麗なまんまるいガラス玉を放つ

大体は途中で魚や鳥などに突かれたりして
弾けて無くなってしまうけれど
運良く水面に出てきたガラス玉は
山の神社にある池にぽっこりと姿を現す

姿を現したガラス玉は
太陽の光を浴びてゆっくり光を吸収していく

願いを一心に込めて祈る人々の中に
同じぐらいの重さの魂を持つ人に巡りあうと
ガラス玉はふわふわ浮いて光を放ち
その人の胸の奥に消えていく

その人はとても心が軽くなり
願い事が叶う訳ではないけれど
ずっと自分の魂がどこまでも軽く
温かい光に包まれる気持ちがする



自由詩 ガラス玉掬い Copyright 灰泥軽茶 2011-12-10 01:25:24
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