101個目のぬくもり
あ。

それは、手のひらでした


空気が冷たくて目が覚める朝
寝床から出るきっかけを作るために
ひとつ大きな伸びをした
ふと指先に感じたもの


腕の中でほんの少し身体をひねる
バランス、乱れる
思わず空をかいた拍子に
乾いたわたしの頬に触れる


湯気がのぼるココアのように
路傍に咲く名前も知らない花のように
芯から、
目を凝らしても見えない奥のほうから
やんわりと
ゆっくりと
あたためてくれるのは


小さな小さないとおしいきみの
小さな小さな爪の付いた
小さな小さな手のひらでした


閉じられた指をそっと開く
その中には。


自由詩 101個目のぬくもり Copyright あ。 2011-12-09 08:51:19
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