景色
マーブル

景色は遠ざかり鋭くわたしの心臓あたりを逆撫でる
ブルーグラスという熱帯魚みたいに
紅い美醜を纏って
三角の空をながめている気分


ミントグリーンの空気
浮つく不揃いの恋人達が
汽笛を待っていたんだ
酸っぱい春を待ち焦がれる為に


雷雲が言葉を降らすときの夜みたいに

小鳥のはばたきの合図で流すなみだには

こころが景色になる瞬間なんだ


ネビュラ街まであと40分はかかるなと
流れては生まれかわる景色は黙りながら
黙々と光りを垂らしていた
それは夏の午睡を誘う光りだった


やがて風に乗る枯れ葉の唄が
元の景色に戻って来る
なんだか随分と皺ができた老人のようで
優しい目をしながら
はらはらとわたしの目に宿った


仕方がない
わたしは幻でも見にゆこう
春にも夏にも秋にも冬にもない
景色を


青い雪が降る化粧をして
時間を止める為に


揺られていよう







自由詩 景色 Copyright マーブル 2011-12-09 00:51:14
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