景色
マーブル
景色は遠ざかり鋭くわたしの心臓あたりを逆撫でる
ブルーグラスという熱帯魚みたいに
紅い美醜を纏って
三角の空をながめている気分
ミントグリーンの空気
浮つく不揃いの恋人達が
汽笛を待っていたんだ
酸っぱい春を待ち焦がれる為に
雷雲が言葉を降らすときの夜みたいに
小鳥のはばたきの合図で流すなみだには
こころが景色になる瞬間なんだ
ネビュラ街まであと40分はかかるなと
流れては生まれかわる景色は黙りながら
黙々と光りを垂らしていた
それは夏の午睡を誘う光りだった
やがて風に乗る枯れ葉の唄が
元の景色に戻って来る
なんだか随分と皺ができた老人のようで
優しい目をしながら
はらはらとわたしの目に宿った
仕方がない
わたしは幻でも見にゆこう
春にも夏にも秋にも冬にもない
景色を
青い雪が降る化粧をして
時間を止める為に
揺られていよう