桃源郷
るるりら

雨の降りはじめる 特別な においがして
猫のヒゲがゆれる
森の虫が 鳴いて その余韻の先で
おこめのたける匂いは
のりしろのにおい 

やま と たに を
のりづけしようと
新しい体温の やまびこが 谷を渡る

霧の中で こわれてゆくものが あるとしても
だれも きにしない
うまれいずるものの中に にげこむだけだからだ
今日だって やまびこが 子猫を生んだ

そして
今日も 桃源郷は 霧に包まれている



自由詩 桃源郷 Copyright るるりら 2011-12-01 11:23:27
notebook Home