薄暮に
そらの珊瑚

薄暮に出現する影は
限りなく
薄い
太陽が西に消え
その魔力から
逃れた
サターンが
息を吹き返す

何処へ
行くのですか?
柊の赤い実が
真面目な顔して
問う
ええ、この坂を登りきったところへ
と、私は答える
イチョウ葉が
おかしいですね、この坂は下り坂なのに、
ふ、
 ふ、
  ふ、
と笑って
裏とも表とも
とれる顔で
地面に散っていった
笑いさざめきながら

登り坂は下り坂
終点は始点

急ぐことはない
黒ミサは
世界に夜が訪れるたびに
開かれる
魔の刻がやってくる

薄暮に出現する影は
限りなく
薄く
気を付けないと
一人歩きしてしまう



自由詩 薄暮に Copyright そらの珊瑚 2011-12-01 10:23:38
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