鼻唄 ー道9ー
……とある蛙


街の中は喧噪に溢れているので
街の中からゆっくり街道沿いに歩き出す。
季節が素通りしている並木道に
まだ落ちてこない銀杏の葉が茂っている
銀杏の樹肌はゴツゴツしているが
何も物言わずに
気づかないよう年輪を重ねる

自分は銀杏ほどにも成長せず
その脇を下を向いて歩いている
その道の途中で
考え込んでしまうことがある。

道の先に何があるか

今歩いている道はとてもきれいな道で
道の両側には銀杏が植えてある並木道で
しかも赤い煉瓦の敷き詰められた舗装された道

期待している先には誰もいない。

実は銀杏並木ではなく
プラタナスの並木だったのかも知れない
いずれにしても独りぽっちで歩いているのだ

周りには誰もいない道を

独りぽっちで歩いている
その先には誰もいないが
きれいな煉瓦の並木道
脇から眺めていると申し分のない景色だが
煉瓦道は微妙にうねっていて
しかも凸凹なのだが
外目には綺麗に舗装されているように見える

それに気づいていても歩いている
実際は煉瓦の隙間から
何かが覗いているのだが
下から覗かれながら
このまま そのまま 歩いている
鼻唄まじりに歩いている。



自由詩 鼻唄 ー道9ー Copyright ……とある蛙 2011-11-30 11:46:13
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