秒針
まーつん

(僕)
追いかけてくるよ
時計の秒針が

片づけても 片づけても
後から 後から
新しい仕事が 湧いて出てくる
さながら蛆のように 白く まがまがしく
時間という競技トラックの 前方に
喜々として身をよじらせ あふれかえり
その小さな責任の群れが 僕にむかって
飛び掛かってくるんだ

情熱は どこに行った
理想は どこに置いてきた
いつから仕事は 喜びではなく
ただの義務へと 変わり果てたのか?

*
(もう一人の僕)
なあ おまえさん
まるでハツカネズミみたいに 走り回ってさ
そんなに目をぎらつかせて 実は 何も見えてないんじゃないのか?
そんなに焦るなよ 約束なんてほっとけ
おまえさんが 気にかけなきゃいけないのは 
クライアント なんかじゃない
じつは 自分自身なのさ

いいかっこなんか しなくていい
やりたいことを やれよ
それが やるべきことなのさ

深呼吸して 足取りをゆるめて
あたりを みまわしてみなよ
わかるだろ
あんたを追いかけてくる秒針
それは ただの
幻でしかないんだよ


自由詩 秒針 Copyright まーつん 2011-11-29 23:36:51
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