嘘つきアルベール
そらの珊瑚

舗石の下には砂
自由の下には旗
投げつけられた火炎瓶
怒号、
硝煙、
五月革命のパリ

嘘つきアルベール
誰しもあなたのことをそう呼んだ
真実ばかりじゃ息がつまっちまう
たまには嘘が必要さ

サンルイ島の夕焼けはルビィ色
どんなに血を流しても
明日には空はよみがえる
嘘つきアルベール
必ず帰ると言ったのに

ブローニュの柘榴はルビィ色
小鳥がついばみ
今日の糧となり喜びになる
嘘つきアルベール
一緒になろうと言ったのに

小鳥よ
枯れ枝になった私の指に止まり、
唄っておくれ
人生は、嘘に満ち溢れていても
人生は、すばらしいものだと




自由詩 嘘つきアルベール Copyright そらの珊瑚 2011-11-29 11:06:20
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