深水遊脚

水面ははるか上
光は届いていないはずなのに
ぼんやりと明るい

呼吸の仕方を覚えたのは
もうだいぶ前のこと
少ない養分にも慣れた
清さがいまは心地よい
先のことはまだ分からないけれど

水の音は
ここでは聴こえない
潤うという言葉は
渇きのないここでは理解されない

憧れをもっていた人がいた
ここにないものについて
耐えがたいと言った人がいた
ここにありふれたものについて
何人かはここを去った

水に満たされた私
先のことはまだ分からないけれど


自由詩Copyright 深水遊脚 2011-11-28 12:12:10
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