熊五郎の左腕
徘徊メガネ

大切にしてきた
ぬいぐるみの腕がとれていた

20年来の友の腕が
床の上で冷たくなっていた

押し入れから
小学校の頃使っていた裁縫セットを掘り起こして

普段しない縫合を試みる

不器用なんだ ごめん ごめんな

縫い繋げた腕は最高に不細工だ

信じられないほど不細工だ

こいつは望んだだろうか

こんな姿での延命を

こいつは望んだだろうか

大切にしてきた
ぬいぐるみの腕が不細工になった

20年来の友の腕が
信じられないほど不細工になった

不器用なんだ ごめん ほんとごめんな
 


自由詩 熊五郎の左腕 Copyright 徘徊メガネ 2011-11-27 15:37:17
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